Blun Tattoo彫迅「タトゥーは芸術であり、生き様」 – TATTOO JAPAN #5
2025/02/09
タトゥーアーティストインタビュー連載、第5回目は東京都世田谷区にあるBlun Tattooの彫迅さんです。4月の店舗オープンから約半年で6名の彫り師を抱えるまでの急成長を実現させた彫迅さんのこれまでや、タトゥーに対する価値観についてお聞きしました。
ータトゥーとの出会いを教えてください
母親が絵を描くことが好きだったため、その影響で小学2年生の頃に絵を描き始めましたが、当時はまだ彫り師ではなく漫画家を目指していました。
中学進学時の引越しで横浜へ移ったことで、当時周りの先輩が刺青を入れていて衝撃を受けたことが転機になります。
元々美術館なども好きなのですが、タトゥーであれば一生人の身体に残って、自分の描いた作品が街中を歩いている。そんなタトゥーならではの特徴に惹かれたのが彫り師を目指したきっかけです。
ーでは、ご自身の身体にタトゥーを入れるより先に彫り師になりたいと思ったのですか?
彫り師になりたいという気持ちが先行していましたね。最初は独学で絵をひたすらに描いて練習をし始め、並行して自分の身体にも右腕の筋彫りから入れ始めました。
ーそれから弟子入りをされたのですか?
高校1-2年生くらいの歳まで独学で練習をしていました。その頃タトゥーマシンを買って練習を始めたのですが、18歳の時に体系的に習って一人前の彫り師になりたいと思い師匠の元に弟子入りしました。
それから3年間師匠のもとで学ばせていただきましたね。
ー最初はどのように練習されたのですか?
最初の1年間はずっと絵を描いていました。師匠に題材を決めていただいたんですが、最初は画用紙に鉛筆で龍を描きましたね。
ー最初からなかなかな大作ですね
そうですね。1日に60-70枚ほど描いては師匠のところへ持っていって消しゴムで消されるという毎日でした。
2年目からは人工皮膚を用いたマシン練習や同期と彫り合うなどで練習をすることになります。その後師匠から出される試験をクリアして、お客様に彫り始めるという流れで彫り師になりました。
ーBlun Tattooが2024年の4月オープンですが、それまでの間はどうしていましたか?
3年間師匠のもとで練習やお客様を取らせていただいた後は、独立して立川のマンションの一室でプライベートスタジオを構えました。そのスタジオでは2年前までプレイさせていただき、2年前の7月からロンドンへ移りました。
ーロンドンへ行ったきっかけはなんでしたか?
ジャパニーズスタイルと洋彫りどちらも大好きなのですが、自分のスタイルだとロンドンがとても熱くて。また芸術の街ということもあり、ロンドンに行くことになりました。
ーブラックアンドグレーというとチカーノなどアメリカや南米のイメージが強いですが?
そうですね。ただ、一言にブラックアンドグレーといっても型があると思っています。
あくまで私の個人的な表現ですが、例えば左側のデザインは少し力強い印象があるため「ニューヨークスタイル」。一方、右側のデザインは柔らかい雰囲気があるので「ヨーロッパスタイル」と呼んでいます。
僕はガッツリギャングアートよりも、Central Ceeなどのソフトなアートが好きなので。アメリカのブラックアンドグレーではなくヨーロッパスタイルのブラックアンドグレーを特に学びたいと思い、ロンドンへ行きました。
ーロンドンで特に印象的だったことなどありましたか?
ロンドンと日本ではタトゥースタジオやタトゥーのあり方がまるで違いました。日本の特に伝統和彫りのスタジオは敷居の高いイメージがあると思うのですが、ロンドンのタトゥースタジオはそういったものが全くありません。
街にタトゥーやタトゥースタジオが溶け込んでいるのがとても印象的でしたね。
ーロンドン留学の後、すぐ今のスタジオに移られたのですか?
そうしたかったのですが、帰る時はまだ良い物件が見つからなかったので、帰国後は生まれ育った地元である福岡へ戻りました。
福岡でもプライベートスタジオをやっていたのですが、現在の物件とご縁がありリフォームなども経て4月に現在のBlun Tattooが始動しました。
ーTikTokでかなりフォロワーがいらっしゃいますが、どの頃から始められたのですか?
TikTokは立川へ移った頃から始めましたね。
タトゥー=反社といったイメージがまだ強い日本で、ネガティブなイメージを持つこと自体は良いと思うのですが、歴史やそれぞれのタトゥーに込められた意味、芸術としての美しさを知って欲しいとも思っています。
そして知った上で好きになっていただければ何よりですが、知ったうえでも嫌いなら仕方ないと思います。ただ、偏見で判断するのではなくきちんと知った上で判断をして欲しいと思い、情報を発信するためにTikTokを始めました。
ータトゥーへの熱い想いが伝わりますね
自分が人生の中で経験した色々なストーリーが絵に出ると思うので、絵も生き様だと考えています。
その時の感情や想いが出る、ファッションとしてのスタイルだけでなく、そこに重みや意味があるのがタトゥーだと思うので。タトゥーをまだちゃんと知らない人には知ってもらいたいですよね。
ーそうした美学は実際の施術にも反映されているのですか?
施術の上では、その人それぞれにゆかりのあるものを入れるようにしています。今最先端のタトゥーを入れても何十年もたてば、今よりも技術やマシンが進化して過去のタトゥーはダサい・下手になってしまいます。
しかし、タトゥーにその人にとってゆかりのあるものや、大切な意味があることで何十年先も飽きない。そのためにも、綿密な打ち合わせを行うようにしています。どんな柄を入れようか悩んでいる人からそもそもタトゥーを入れることを迷っている人も相談に来ますね。
ーそういった方々にはどのようにアドバイスされるのですか?
人によるというのが結論にはなってしまうのですが、人によっては「入れない方が良いのではないか」とお伝えすることもありますし、人によっては「こういう位置に入れておじいちゃんおばあちゃんと会う時は隠すんだよ」などそれぞれに合わせた自分の考えをお伝えするようにしています。
ー彫迅さんの今後の展望をお聞かせください
チームを作りたいですね。ロンドンで見たチームがタトゥーのアベンジャーズのような感じで、世界中からスカウトされた彫り師が集まっていて強い衝撃を受けました。この経験から自分もチームを作ろうと思いTikTokで募集し、今のBlun Tattooのメンバーが集まりました。
ーでも、最初から皆さんタトゥーを彫ることができたわけではないですよね?
そうですね。でも、今ではアメリカントラディショナルが得意な彫り師などそれぞれの強みやセンスを活かしたスタイルへ成長してくれています。将来は服といえばヴィトンのように、タトゥーといえばBlun Tattooと呼ばれるようになりたいです。
ー最後に彫迅さんにとってタトゥーとは?
タトゥーは心臓です。表現が難しいのですが、タトゥーを自分から取ったら何も残らないので。
だからこそタトゥーの芸術としての美しさを分かる人にはより知って欲しいですし、分からない人にとっては怖いものではなく芸術として認知されて欲しいと思いますね。
取材を通して彫迅さんのタトゥーに対する熱い想いと、だからこそタトゥーや入れるお客様に真っ直ぐ向き合う姿勢がとても印象的でした。
店舗もカーテンポールやレンガを用いた内装にタトゥーの下絵が壁に並んでいる、ロンドンの影響を色濃く反映したスタジオのインテリアが特徴的です。
また、前述の通りロンドンで見た街に溶け込むタトゥースタジオの影響もあり、おじいさんや子供が遊びに来るようなオープンな店舗となっています。
ファーストタトゥーを入れようか悩んでいる方やタトゥーのデザインで悩んでいる方、一般的なタトゥースタジオの敷居が高いと感じる方には特におすすめのスタジオです。
(取材・文:タトゥージャパン編集部 / 取材協力:彫迅)