タトゥーの種類|和彫りやトライバルなど代表的なスタイル15種類
2024/12/14
タトゥー(刺青)は、大きく分けて和彫りと洋彫りの2つに分類されることは、多くの方がご存じかと思います。しかし、その細かな種類や歴史、デザインの特徴については、あまり詳しくないという方も少なくありません。
例えば、同じ洋彫りのモチーフであっても、チカーノ系とオールドスクールでは描き方が異なり、仕上がりにも大きく異なります。その違いを知ることで、デザイン選びの幅が広がるでしょう。
そこで今回は、タトゥー(刺青)の種類とそれぞれのデザインの特徴、さらには簡単な歴史について解説していきます。
これらを知っておくと、タトゥーアーティストとのコミュニケーションがスムーズになり、理想的なデザインを選びやすくなります。タトゥーを検討している方は、ご自身の好みのジャンルを探しつつ、タトゥーの歴史にも触れてみましょう!
気になる種類やデザインがあれば、目次をクリックすると飛べます。
より細かく分類していくともっと多くなりますが、大きく分けるとタトゥーの種類は13種類あります。
その中でも代表的な7種類をまずはご紹介していきます!
和彫りは、日本の伝統的な技法と独自のモチーフを取り入れたタトゥースタイルです。そのデザインには、日本特有の文化や信仰、物語が色濃く反映されています。
身体全体をキャンバスとして活用し、大胆かつ壮大な構図を持つ点が和彫りの大きな魅力です。特に、細部まで丁寧に描かれる緻密な表現が特徴的ですね。
また、「一目でわかる美しさ」と「隠せる機能性」が重視されており、着物の襟や袖のライン、日常生活での見え方を意識してデザインされることが多いです。
現代の和彫りの原型は、江戸時代に完成したとされています。この時代、「浮世絵」や「歌舞伎」の影響を受け、和彫りが庶民の間で広く人気を集めました。
特に、大きな影響を与えたのが「水滸伝」という中国の小説と、その登場人物を描いた浮世絵師・歌川国芳です。この影響を受け、和彫りには伝説の動物や英雄をモチーフにしたデザインが多く取り入れられるようになりました。
しかし、明治時代に入ると政府の規制によってタトゥーは非合法化され、和彫りはヤクザ文化と結び付けられることになります。それでも現在では、和彫りは芸術としての価値が見直され、国内外を問わず高い人気を誇る存在となっています。
和彫りでは、身体全体をキャンバスとし、「大きな物語」を描くことがデザインの中心になります。たとえば、背中から腕、脚にかけて流れるような一体感のある構図が特徴で、全体のバランスが非常に重視されます。
色彩面では、鮮やかな赤、青、緑といったカラフルな色をモチーフに使用します。その一方で、背景部分には「ぼかし」と呼ばれる灰色や黒色を用いて隙間を埋め、全体にメリハリを生む独特のコントラストが魅力です。
和彫りでは以下のモチーフが頻繁に使われます。
和彫りについては、別の記事でより詳しく紹介しているので気になる方はチェックしてみてください!
オールドスクールタトゥーは、西洋タトゥー文化を象徴する代表的なスタイルで、和彫りとは対照的な特徴を持っています。このスタイルは他にも「アメリカントラディショナルタトゥー」、略して「トラッドタトゥー」や「アメトラ」とも呼ばれています。
20世紀初頭のアメリカで誕生し、特に海軍や兵士たちの間で広く支持されました。彼らの冒険心や絆を象徴するデザインとして、タトゥーが生活や文化に深く根付いていたのです。
このスタイルの特徴は、鮮やかな色使いとシンプルでありながら目を引くアイコニックなモチーフです。タフで力強い美学が感じられるデザインが、現在でも多くの人々を魅了しています。
オールドスクールタトゥーの起源は、19世紀末から20世紀初頭にまで遡ります。この時期、港に立ち寄った多くの水夫たちが、旅の記念や幸運のお守りとしてタトゥーを彫る文化が広まりました。
タトゥーが一部の人々の間から大衆へ広がったのは、第二次世界大戦中のことです。戦場に赴く兵士たちが、自由や愛国心、そして無事に帰還する願いを込めてデザインを選び、身体に刻みました。
この時代に活躍した代表的なタトゥーアーティストがノーマン・コリンズ、通称「Sailor Jerry」です。彼は革新的なデザインと技術を生み出し、オールドスクールタトゥーのスタイルを確立する重要な役割を果たしました。
しかし、1960~70年代になると、タトゥーの反社会的なイメージが強まり、アンダーグラウンドな文化として細々と存続することになります。その後、1980年代以降、カウンターカルチャーやサブカルチャーの中で再び注目を浴びるようになり、現在ではアメリカンヴィンテージとしての価値が高く評価されています。
オールドスクールタトゥーの特徴として、太くしっかりとしたアウトライン(線)と、赤、青、緑、黄色といった原色を使用する点が挙げられます。
色数は比較的少なめですが、色のコントラストが鮮やかでヴィンテージ感がありながらも、力強い印象のタトゥーです。
そんなオールドスクールタトゥーで頻繁に用いられるモチーフには、以下のようなものがあります!
トライバルタトゥーは、黒インクを主体とした大胆で幾何学的なデザインが特徴的なスタイルです。そのシンプルで力強いデザインはとてもインパクトがあり、今なお多くの人々に愛されています。
古代においては、トライバルタトゥーは単なる装飾ではなく、部族のアイデンティティや社会的地位、信仰、さらには戦士としてのステータスを示す重要な象徴として機能していました。
トライバルタトゥーの歴史は何千年にも及びます。
考古学的には、エジプトのミイラやオセアニアの先住民、アフリカの部族、ケルト文化、ネイティブアメリカンそして縄文時代の日本など、多くの地域・時代でタトゥーの痕跡が発見されています。
当時、タトゥーはスピリチュアルな力の象徴として、また部族の所属や社会的地位を示す証明、あるいは戦士の勇気を示すものとして重要な役割を果たしていました。
現代においても、一部の地域ではこうした伝統的なトライバルタトゥーは現存しています。一方で、現在タトゥースタジオで多く見られるトライバルタトゥーは、20世紀後半に確立したアートスタイルといえます。
特に1990年代の西洋文化では、トライバルデザインがファッションや自己表現の一環として大きな流行を見せました。
トライバルタトゥーは、通常黒色のインクのみを使用し、幾何学的なデザインが特徴です。中でも線や曲線を巧みに組み合わせた構成がメジャーとされています。
古代のトライバルタトゥーは身体の形に沿うようにデザインされ、対称性やバランスの美しさが際立っていました。
現代では、伝統的なデザインを継承しつつも、抽象的で個性的な表現へと進化しています。そのためお守りや魔除けといった過去の意味合いから離れ、芸術性を重視したスタイルが主流となりました。
そのデザインには、シンプルでありながら大胆で力強い印象を与えるものが多く見られます。モチーフとしては、太陽や月、海、動物など、自然を象徴する要素が取り入れられることが一般的です。
チカーノタトゥーは、アメリカ西部に住むメキシコ系移民(チカーノ)の文化に深く根ざしたタトゥーアートです。独特の美的感覚と強いメッセージ性を持ち、彼らの文化的背景や価値観を象徴しています。
主に黒と灰色のインクを使用したリアルなスタイルが主流で、カトリックなどの宗教的要素、家族愛、ストリート文化、さらには社会への反抗心がテーマとして描かれることが多いのが特徴的です。
チカーノタトゥーのルーツは、1940~50年代にアメリカ西部(特にカリフォルニア州)で台頭したメキシコ系移民コミュニティにあります。当時、若者たちは「パチューコ(Pachuco)」と呼ばれるストリート文化を形成し、そこから派生した自己表現の一つとしてタトゥーが用いられるようになりました。
1960~70年代には、チカーノタトゥーは刑務所文化と密接に結びつきます。囚人たちは限られた道具を使い、独自の手法でタトゥーを彫り、所属するギャング、信仰、家族への愛を表現しました。
1980~90年代になると、刑務所で学んだ技術を持つタトゥーアーティストたちがコミュニティに戻り、タトゥーの技法を広めます。この時期には、チカーノタトゥーがストリート文化の一部として発展し、より広く認知されるようになりました。
その後スケートボードやHIPHOP文化の流行などの後押しも受け、チカーノタトゥーは国際的に評価されるスタイルとなりました。そして今日ではギャング文化の枠を超え、幅広い支持を得るスタイルとして定着しています。
チカーノタトゥーのデザインは、黒インクを基調に、陰影やグラデーションを駆使したリアルで繊細ながらも立体感のある仕上がりが多くの人を魅了しています。
デザインを施す場所としては広い部位、例えば背中や胸、腕全体などが多く、一つのタトゥーだけでなく複数のモチーフを組み合わせることが多いのも特徴の一つです。
よく用いられるモチーフとしては以下のようなものがあります。
ブラックアンドグレータトゥーは、黒インクを使用し、陰影や濃淡を駆使してデザインを描き出すタトゥースタイルです。
このスタイルは写実的なタトゥーから抽象的なデザインまで幅広く対応し、シンプルながらも高い芸術性を持つのが特徴となっています。
カラフルなタトゥーとは異なり、色彩を排除しているため、ミニマルかつ洗練された仕上がりになります。
ブラックアンドグレータトゥーの起源は刑務所文化に由来するとされています。
刑務所ではカラーインクが入手困難なので、囚人たちは手作りの道具や黒インクだけを使用してタトゥーを彫っていました。
そうした中で墨やペンのインクを薄めてグラデーションを作る技術が発展し、この独特のスタイルが生まれました。
その後、アメリカ西海岸のラテン系コミュニティへと広がりチカーノ系をはじめとするストリートタトゥーアーティストたちが、このシンプルで力強いスタイルを洗練させ、高い評価を受けるまでに至ります。
そして現在でも、リアリズムや肖像画を得意とするアーティストの台頭によって、より精密で写真のようなクオリティが実現されるなど進化を続けているジャンルです。
ブラックアンドグレータトゥーは、シンプルで無駄のない構成が好まれる一方、複雑なディテールを持つ大作も同様に高い人気を誇っています。
身体の形状に沿ったダイナミックなデザインが多く、個々の部位を活かした構成が見られるのも特徴です。
またその名の通り主にカラーインクを使用しないため、時間が経っても比較的鮮明な状態が保たれやすい点も大きな利点といえます。
ブラックアンドグレータトゥーでよく使われるモチーフとしては以下のものが挙げられます。
ワンポイントタトゥーは、その名の通り小さなサイズのタトゥーで、主にシンプルなデザインが特徴です。
手首、足首、肩、指など、比較的目立たない場所にワンポイントとして彫られることが多く、初めてタトゥーを入れる人にも人気のスタイルです。
デザインは控えめながらも自分らしさを表現できるため、意味のあるシンボルやミニマルアートとして活用されています。
ワンポイントタトゥーのコンセプト自体は古代から存在し、印やシンボルとして用いられてきました。
古代エジプトやポリネシア文化でも、特定の意味を持つシンボルが小さなサイズで体に刻まれていました。
また欧米では、水夫や冒険者が小さなタトゥーを航海の記念や幸運のシンボルとして入れることが一般的だったなど時代・地域を問わず様々な形で散見されます。
そして20世紀後半から、タトゥーがポップカルチャーの一部として普及する中で、ワンポイントタトゥーはファッション性や自己表現の手段として注目を集めました。
特にミニマリズムが好まれる現代では、シンプルで洗練されたデザインのワンポイントタトゥーが多くの人々に愛されています。
また、小さいため痛みや費用を抑えることができ、後でカバーアップ(別のデザインで上書きすること)しやすいことから、タトゥー初心者にとって取り組みやすいスタイルとしても定着しています。
その名の通りサイズは小さく、一般的に数センチ以内のものがワンポイントタトゥーと呼ばれています。また手首、指、耳の裏、足首、首筋など、控えめで目立ちにくい部位に彫られることが主流なのも特徴です。
デザインはモノクロ(ブラックインク)で描かれることが多いですが、ポイント的にカラーを入れる場合もあります。特に小さいデザインでは、色数が少ない方が視覚的に綺麗でバランスが取れるのが良いですね。
そんなワンポイントタトゥーでよく使われるモチーフは以下のようなものになります!
レタリングタトゥーは、文字や単語、文章を主体にしたタトゥーのスタイルです。
名前や座右の銘、詩、歌詞、特定の言葉などを通じて、個人のメッセージ性や感情を表現するなどメッセージ性の強いのが特徴です。
フォントや書体によって印象が大きく変わるため、シンプルなデザインから装飾的なアート作品まで幅広い表現が可能になっています。
タトゥー文化の初期から、言葉や名前を刻む習慣は存在しました。古代エジプトやポリネシア文化では、象形文字や文字的な模様がタトゥーに取り入れられることもあったようです。
19世紀、航海者や軍人たちは、自分の名前や所属部隊、母国、愛する人の名前をタトゥーとして刻みました。この時代のレタリングはシンプルで、手書き風のデザインが一般的でした。
20世紀に入り、タトゥーアートの進化と共に、レタリングタトゥーも装飾性が高まります。特にチカーノ文化(メキシコ系アメリカ人)では、「チカーノレタリング」という装飾的で洗練されたスタイルが発展し、ブラック&グレイスタイルと密接に結びつくこととなります。
現代では、タイポグラフィやフォントデザインの進化により、様々な雰囲気のレタリングタトゥーが描かれるようになりました。
手書き風、ゴシック体、筆記体、モダンなサンセリフ体など、依頼者の個性やメッセージ性に応じてカスタマイズされています。
胸、腕、手首、指、首、背中など身体のラインに合わせて配置することが多く、例えば長い文章の場合肋骨や背中に縦方向で配置することが一般的です。
サイズとしてはワンポイントタトゥーのように小さなサイズから、胸元に大きなレタリングタトゥーなど様々なサイズで入れることができます。
レタリングタトゥーでよく用いられるモチーフは以下のようなものです。
誤字脱字などしてしまうと一生残ってしまうので、彫る場合は事前に綴りやデザインを確認しましょう。
ここからは、これまでにご紹介した7種類よりはマイナーですが、昨今人気があるタトゥーの種類を8つご紹介していきます。
ホワイトタトゥーは、白いインクを使用してデザインするタトゥーのスタイルです。通常の黒やカラーのタトゥーとは異なり、控えめで目立ちにくいデザインが特徴です。
光の角度や肌の質感によって見え方が変化し、肌の色とのコントラストが少ないため、シンプルながらもミステリアスで繊細な印象を与えます。
タトゥーの目立ちすぎを避けたい人や、個性的なデザインを求める人々に高い人気があります。
ホワイトインクがタトゥーに使用されるようになったのは、20世紀後半から21世紀初頭にかけてです。インクの製造技術が進化し、白い色素が皮膚に持続的に残るようになったことで、このスタイルが実現しました。
ホワイトタトゥーが本格的に人気を得たのは、21世紀に入ってからです。SNSやインスタグラムといったプラットフォームを通じて、タトゥーアーティストやその作品が広く知られるようになったことが要因とされています。
そして近年では、UVライトに反応する白インクを使用したデザインなども出てきました。普通の環境では控えめなデザインですが、UVライトが当たると輝きを放つユニークな仕上がりが楽しめます。
白インクのタトゥーは、他の色と比べて繊細で、肌の色やトーンに溶け込むような仕上がりが特徴です。ライトスキントーンでは彫刻のような立体感を演出し、ダークスキントーンでは明るいコントラストを生み出します。これにより、控えめでありながらも存在感のあるデザインが可能です。
一般的に、白インクのタトゥーは幾何学模様やフラワーデザイン、文字(レタリング)など、細かく繊細なデザインに用いられることが多いです。また、指や手首、耳の後ろといった目立ちにくい箇所に施術されることが多く、シンプルでエレガントな印象を与えます。
一方で、白インクのタトゥーは紫外線に弱いため、時間の経過とともに色が薄れたり変色したりする可能性があります。そのため、日焼け止めをこまめに使用した紫外線対策など丁寧なメンテナンスが必要です。
ネオ和彫りは、伝統的な日本の和彫り(刺青)にモダンなアートやタトゥースタイルを融合させた新しいジャンルのタトゥーです。
従来の和彫りの特徴を尊重しながらも、色彩や構図、描写に現代的なアプローチを取り入れたデザインが特徴です。
伝統を継承しつつ、自由な表現や個性を重視するスタイルとして、国内外で人気が高まっています。
ネオ和彫りは、1990年代から2000年代にかけて、和彫りが世界中で注目される中で誕生しました。従来の和彫りに西洋で人気のアメリカントラディショナルやニュー・スクール、リアリズムの要素を取り入れることで、日本のアーティストが独自に進化させました。
特に海外のタトゥー文化との交流が深まる中で、伝統的な和彫りに新しい技術や表現を取り入れる動きが活発化し、現在も進化を続けるスタイルです。
昨今では和彫りの伝統的な技法やモチーフは踏襲しつつも、鮮やかなカラーリングや立体感のあるシェーディングが組み合わさったデザインが出てきています。
海外ではNeo-JapaneseやJapanese-neo traditionalとして知られていて、特に欧米の若い世代の間で高い支持を得ています。
ネオ和彫りは、和彫り独特の落ち着いた配色をベースに、ネオンカラーやパステルカラーを加えることでモダンな雰囲気を演出します。また、伝統的な平面的なスタイルにとどまらず、立体感やダイナミックな動きを意識した構図も特徴的です。
デザインは伝統的なボディスーツ形式(背中全面から腕や足、胸にまたがるデザイン)で描かれることもあります。一方で、ワンポイントやスリーブ、背中の抜き彫りなど部分的なデザインも人気を集めています。
ポートレートタトゥーは、人間や動物の顔、特定の人物像をリアルに描写したタトゥースタイルです。このスタイルは写真のようなリアリズムが特徴で、技術的な精密さとアーティストの芸術的なスキルが求められます。
19世紀から20世紀の初頭の間、リアリズムがアートにおいて大きなトレンドとなり、タトゥーも類をもれずその影響を受けました。初期のポートレートタトゥーでは、主に船乗りや軍人が家族や恋人などを肌に刻むものが一般的でした。
20世紀中頃、タトゥーマシンとインクの改良により、より精密でリアルなポートレートタトゥーが描かれるようになります。特に、チカーノタトゥーやブラックアンドグレイタトゥーの発展が、リアルな影や質感の表現を可能にしました。
その後21世紀に入ると、写真のようなハイパーリアリズムタトゥーが流行し、ポートレートタトゥーもより一層高い芸術性を求められるようになります。
また、カラータトゥー技術の進化により、ブラックアンドグレーだけでなくフルカラーのリアルなポートレートも人気を博すこととなります。
ポートレートタトゥーは、高解像度の写真を元に、シワや毛髪、肌の質感まで細部をリアルに再現するデザインが特徴です。その際に正確なシェーディング(陰影)を施すことで、立体感とリアルさが際立ちます。
スタイルとしては、アメリカントラディショナルやチカーノ、ブラックアンドグレー、ハイパーリアリズムなど、多彩な種類から選ぶことができるのも利点の一つです。
タトゥーを入れる部位としては、腕(特に前腕)や太もも、背中など、広く平坦なスペースが適しています。
ジオメトリックタトゥーは、幾何学模様を主体にしたタトゥースタイルです。直線、曲線、三角形、四角形、円、点などの幾何学的な形状を組み合わせて、複雑で洗練されたデザインを構築します。
シンプルな形状から非常に複雑なパターンまで、多様なデザインが可能で、ミニマルな美しさとアート性が特徴です。このスタイルは、視覚的な調和やバランスを重視しており、自然や宇宙、生命の秩序にインスパイアされることも多いです。
幾何学模様は古代から多くの文化で使用されてきました。例えば、ポリネシア、アステカ、マヤ、ケルト文化などの伝統的なタトゥーには、幾何学的なパターンが頻繁に見られます。これらはしばしば、宗教的、儀式的な意味合いを持ち、自然界や宇宙の秩序を表していました。
中世ヨーロッパでは、幾何学模様が「神聖幾何学」として認識され、数学と自然、哲学を結びつけるシンボルとされました。この思想が現代のジオメトリックタトゥーの基盤となっています。
現代のジオメトリックタトゥーは、20世紀後半から広がりました。特に、コンピューター技術やデジタルアートが進化する中で、より精密なデザインが可能になり、アート性の高いタトゥーとして注目を集めました。
スタイルとしては、モノクロ(ブラックアンドグレー)やラインワークが一般的ですが、色を取り入れたスタイルも存在します。さらに、黄金比など数学的に考えられた規則性をデザインに組み込むことも人気です。
ジオメトリックタトゥーでよく用いられるモチーフとしては、以下のようなものがあります:
ヘナタトゥーは、「ヘンナ」という植物の葉を乾燥させて粉末状にし、水やレモン汁、精油を混ぜて作るペーストを用いた一時的なタトゥーです。
インド、アラビア、中東、アフリカの伝統文化に深く根付いており、結婚式や宗教的儀式などで装飾として使われます。皮膚に直接ペーストを塗り、乾燥後に剥がすことで、赤褐色の模様が肌に染み込みます。
ジャグアタトゥーは、南米に生息する植物「ジェナイパ(Genipa Americana)」の果実から抽出した天然染料を使用した一時的なタトゥーです。ヘナタトゥーと似ていますが、色は濃い青黒色で、永久的なタトゥーに近い見た目が特徴です。
ヘナタトゥー
ヘナの使用は約5000年前にさかのぼり、エジプト文明では、クレオパトラが美のためにヘナを使用していたとされています。インドや中東では、宗教的儀式や祝祭での使用が一般的でした。
インドでは「メヘンディ」として知られ、特に結婚式で花嫁の手や足に描かれる細密な模様が有名です。中東や北アフリカでは、魔除けや幸運を呼ぶシンボルとしても利用されてきました。
現代ではファッションや一時的なタトゥーの代替品として世界中で人気を集めています。
ジャグアタトゥー
アマゾンの先住民は、ジャグアを体の装飾や儀式の一環として使用してきました。また、虫除けや皮膚の保護としての実用的な役割もありました。
1990年代以降、ジャグア染料が商業的に利用されるようになり、一時的なタトゥーの材料として世界中に広まりました。
項目 | ヘナタトゥー | ジャグアタトゥー |
色 | 赤褐色 | 青黒色 |
持続期間 | 約1〜3週間 | 約2〜3週間 |
起源 | インド、中東、アフリカ | 南米アマゾン |
ヘナタトゥー
アラビックスタイル:大胆に流れるような花や葉を描く。
インディアンスタイル:非常に細かい模様が特徴で、幾何学的なデザインやペイズリー模様が多い。
アフリカンスタイル:対称性のある幾何学模様。
ジャグアタトゥー
ヘナタトゥーと似たデザインも可能ですが、濃い色のため、モダンでシンプルなデザインやトライバル模様が人気です。
タトゥーシールは、肌に一時的に貼ることでタトゥーを模倣するシールのことを指します。水を使って貼り付けるタイプが一般的で、数日から数週間持続します。
タトゥーを気軽に楽しみたい人や、デザインを試してみたい人に適しています。現代では、ファッションアイテムや自己表現の一環として幅広い年齢層に利用されています。
1890年代、アメリカでチューインガムのオマケとしてタトゥーシールが登場しました。この頃のシールは非常にシンプルなデザインで、子ども向けの玩具として人気を集めました。
20世紀半ばになると、タトゥーシールはさらに広がり、映画やアニメ、漫画のキャラクターを取り入れたデザインが登場。主に子どもやティーンエイジャー向けのアイテムとして親しまれました。
2000年代以降、タトゥーシールは大人向けのデザインや高品質の素材が開発され、アクセサリーやイベント用のファッションアイテムとして注目されるようになりました。特に、メタリックやグリッター仕様のデザインは、フェスやパーティーシーンで流行しました。
貼り付ける際には、水や濡れた布を使うだけで簡単に肌に転写できます。剥がす際には、石鹸やアルコールを使って簡単に落とせる仕様になっています。
一部のメーカーでは、オリジナルデザインをタトゥーシールとして作成するサービスを提供しています。個人やイベント向けに特別なデザインをオーダーすることが可能です。