公務員がタトゥーを入れたらクビ?健康診断でバレる?過去の事例を紹介
2024/02/06
公務員は国や地方自治体の職員ということもあり、お堅いイメージがあると思います。
そんな公務員がタトゥーを入れることは可能なのでしょうか。
まず、タトゥーは個人の自由で、法律によって規制されているものではありません。そして、最近では若い方を中心に自己表現や芸術、ファッションとして徐々に受け入れられ始めています。
しかし、まだタトゥーは世間一般に広く受け入れられているとは言えません。特にこれから就職を目指す学生の方々は、就職の際にタトゥーが入っていると合否に影響すると聞いたことがある方も多いと思います。
そこで本記事では、公務員の採用や実際の仕事においてタトゥーの有無は影響があるのか、実際の事例も用いながらご紹介します。
一部例外(大阪市など)はありますが、基本的に公務員にはタトゥーを制限する法律やルールはありません。そのため、タトゥーが上司や同僚に見つかったとしても、それ自体が懲戒処分や解雇(クビ)につながることはほとんどないでしょう。
しかし、地方公務員の中には市民と直接接する機会が多い部署・職種も存在します。その場合、タトゥーが見られてしまうと市民からのクレームの原因になる可能性があるので、接客を伴わない部署への異動や処罰を受けるかもしれません。
そのため、公務員でタトゥーを見せる人はほとんどおらず、不必要な処分を避けるためにもタトゥーを隠す方が良いでしょう。しかし裏を返せば、見えなければ良く「バレなきゃいい」ということになります。
公然とタトゥーを見せる公務員はあまりいないとお伝えしましたが、隠していてもタトゥーがバレる可能性はあるのでしょうか。また、公務員試験の際にバレた場合合否に影響が出るのでしょうか。
ここでは行政・事務職と公安系(消防や警察、自衛隊等)の大きく2種類の業種に分けてご説明します。
行政職・事務職の場合、タトゥーが見えない限りバレることはまずありません。
しかし、健康診断だけは注意が必要です。行政職の公務員は年に1度、健康診断が義務付けられています。同僚の前で地肌を見せることになるため、タトゥーが入っている箇所は何かで隠す必要があります。ワンポイント程度なら絆創膏や湿布などで隠すことも可能ですが、広範囲にわたって入っていると、隠すことが難しくなるので公務員を志す方は大きな図柄のタトゥーを入れることは避けたほうが良いでしょう。
また、公務員試験においては、後述する公安系の場合と異なり、身体検査などの項目が公務員試験に含まれていないためタトゥーが見えなければバレることはありません。
しかし、タトゥーがあることがバレるとほぼ100%不合格になると予想されます。
公務員は公に使える仕事のため、身だしなみや品位が求められます。そのため、タトゥーが入っていることへのメリットは何もなく、面接試験などでタトゥーが入っていることがバレた場合、試験官に対して悪印象しか与えません。
その為、公務員試験の受験の際にはしっかりと見えないよう対策をすることをおすすめします。
行政職とは一転し公安系の場合、バレる可能性が非常に高いでしょう。
そもそも、公安系の公務員試験には身体検査があり、全身を見られます。そこでタトゥーをバレずに隠し通すことは非常に難しくなっています。実際にタトゥーの入っている方が警察官試験よりも難易度の高い県庁の公務員試験に合格したにも関わらず、警察官採用試験には落ちたという話もあります。ただの憶測ですが、県庁と比較すると難易度が低い警察官試験で落ちたのはタトゥーが原因かもしれません。
また、万が一隠し通して入ったとしても、警察学校や自衛隊官舎内など公安系の職業は共同生活がある場合があります。そうした共同生活で、バレる機会はその他の職業と比較しても多く、隠し通すことは非常に難しいと考えられます。
大前提としてタトゥーを入れることは、憲法上その自由は保障されています。そして憲法に違反するものは、法律や条例でも無効となりますが、内部規律が社会通念上問題ないと判断されると、職員個人の自由であってもある程度の規制をかけられることがあります。
その一例としてここからは、公務員のタトゥーが問題になった有名な事例をご紹介します。
2012年5月に大阪市において、全職員を対象に「入れ墨調査」が行われました。背景には、同年2月に大阪市の児童福祉施設職員が児童にタトゥーを見せ脅かしたという事件がありました。
大阪市は16日、教育委員会を除く全職員約3万3千人を対象に実施した入れ墨の有無を尋ねる調査で、計110人が入れ墨をしていたとの調査結果を発表した。
調査は橋下徹市長の意向で1~10日に書面で実施。記名式で回答を義務付け、「人権侵害」との指摘もあるが、橋下市長は入れ墨をしている職員を市民の目に触れる職場に配置しないなど結果を人事に反映させる方針だ。
内訳は、ごみ収集などを行う環境局が73人と最多で、次いで市営地下鉄やバスを運行する交通局が15人、建設局が7人など。バスの運転手も含まれるという。
首から上、膝から足先まで、肩から手の指先までの人目に触れやすい部分については回答を義務付けた。入れ墨やタトゥーの有無のほか、彫った部位や大きさも尋ねた。
橋下市長は16日、市役所で記者団に「若者がファッションで(タトゥーを)入れる風潮も分かるが、市職員としてはだめだ。どうしてもやりたいなら公務員を辞めて個性を発揮したらいい」と述べた。〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1600G_W2A510C1000000/
これに対し、大阪労働者弁護団は「タトゥーを入れることは、個人の表現の自由であり、プライバシーでもある。そして、地方公務員としてプライバシーを制約されるべき法的根拠はない。」と主張し、調査の中止を求めました。
結果としては、全職員を裸にするような調査は行われず、自己申告形式で実施されました。また、あくまでも市民の目に触れる職場に配置しないなどの人事において反映され、解雇などの処分には至りませんでした。
しかしこの一連の流れから、大阪市職員倫理規則の遵守事項第2条に「入れ墨の施術を受けないこと」が明記されました。そして、その規定を定めたのちにある女性事務職員がタトゥーを入れ、減給1ヶ月(10分の1)の懲戒処分を受けることとなりました。
今はまだ、タトゥーはアウトローや悪いものと捉えられやすく、一方の公務員は公に使える職業であるため相反します。なので、規制をかけることも憲法違反とはなりません。また、見える場所にあるタトゥーは、業務上支障が出るとしてしばらく規制され続けるでしょう。
しかし、直接的にタトゥーを制限する法律はなく、あくまでも人々のタトゥーに対するイメージの問題と考えられます。そしてバレた場合でも懲戒解雇(クビ)などの厳しい処分が下されることはまずなく、結局市民や同僚から見えなければ良いと考えることができます。
見えないところにタトゥーを入れていても、健康診断などの時には同僚にバレてしまうかもしれません。そんな時のための隠し方をいくつか簡単にご紹介します。
サポーターで隠したり、絆創膏や湿布で隠すのは非常に手軽でおすすめです。しかし、地肌のように見せたければファンデーションやコンシーラーを使う必要があります、女性の化粧品として使われるものですが、タトゥーを隠すのにも使えます。
その他にも、タトゥーカバー専門の業者もあり、業者によっては数日間保つものや防水性に優れているものもあるので温泉やプールにも対応できます。
本記事では、公務員のタトゥー事情を実例を用いながら解説してきました。
そしてその中で以下のことが分かりました。
公務員として働く上で、少なくともタトゥーが良い影響を与えることはありません。そして、現在の日本社会においてタトゥーはタブー視されており、隠す努力はしなければなりません。
しかし、時代は今この瞬間も流れており、現在の若い方々のタトゥーに対する認識の変化に伴ってタトゥーが認められる時代が来るやもしれません。